秋祭…後の祭り(5)

 もう三十年も昔のこと、バイクの免許を取った夏、小生は中古の故障しているバイクを早速入手し、無謀にも修理もせずに駆って、大学のある仙台から東京を経由して富山への往復旅行を敢行したことがある。s-DSCF0290.jpg
 これは正に敢行だった。バイクのチェーンがチェーンカバーに擦れていて、走っているとカラカラカラと不気味な音を立てているのだ。それでも、中古ではあれ、やっと手に入れたバイク、やっと取った免許なのだ。何が何でも千台から富山までバイクで往復したかったのだ。道も何も分からないで走る。ガス欠。故障。迷い道。箱根の山が我がバイクでは登れなくて、ローギアにしても、ハーハーゼーゼー言って走る始末。明るいうちに昇り始めたのに、途中、暮れ初め、深い霧に覆われ、どうなることかと不安の念が昂じるばかり。

s-DSCF0291.jpg まあ、そんなドラマの数々は、いつか書き下ろす機会があるものと期待している。ただ、二千キロを走りきって仙台になんとか戻ったのはいいが、タイヤがパンクしており、チェーンは切れかかっていて、無事で帰れたのが不思議なくらいだったことは書いておく。
[ それにしても、今となっては自分でも分からないのだが、東京を経由するまでは分かるとして(これも、変。仙台だと新潟を目指せばいいのに)、何故に箱根に向かい、さらに三島まで突っ走ってしまったのか…? 当時の日記があれば分かるはずだが、二十歳までの日記は焼却してしまい、残っていない! 単に道を間違っただけなのだろうか…。 (05/10/11 追記) ]s-DSCF0293.jpg

 さて、当時は国道さえ、一部は舗装されていなくて砂利道だったりする。道が分からないのだから、ひたすら国道に沿って走っているつもりなのだが、曲がりくねる砂利道を長く走っているうちに日が暮れてしまった。周辺も空も真っ暗闇。街灯などない。民家もなくて、しかも、道はドンドン山の中へと呑み込まれて行くようでもある。
 どれほど走ったことだろう。不安も頂点に達していた。幸い、夏の雨に祟られることのなかったのは助かったと今でも思う。あれで雨に降られていたら、途方に暮れていたに違いないのだ。

 闇の道をよりによって一層、深い闇の世界へ分け入っていくような感覚があった。盛り上がs-DSCF0294.jpgるような黒い影。きっと鬱蒼と生い茂る森か林が黒い物塊となって自分に圧し掛かろうとしているに違いない。
 中古のバイクのヘッドライトは、懐中電灯じゃないかと思われるほどに頼りない。本当に照射しているのか、前に回って確かめてみたくなる。いっそのこと、懐中電灯で照らしたほうが余程、明るいのじゃないかとバイクに突っ込みを入れてみたくなる。